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先行型事業の知財戦略

 独自性のある技術の開発で市場に先行しながら、他社の追従を受けて利益が上げられなくなることは、知財戦略上の弱点がある可能性があります。過去の事業例を分析し、他社の追従を許した原因を明らかにすることで、経営陣に知財戦略を重点課題として経営戦略に組み込ませる必要があります。知財戦略は経営戦略と一体的であるべきだからです。

1.特許網の構築

独自技術であれば、その基本特許とその周辺の特許網が構築されねばならず、次のような方策を実施すべきです。

  • 開発テーマの選定段階で特許調査を行うことによって他社の知財を把握したうえで、他社知財を回避できる(※1)テーマ選定を行う。
  • 選定された開発テーマのもとでの開発技術には重点的に予算を配分して権利の確保を図る。
  • 選定テーマに基づき提案・開発された多種多様な技術を開発者から聞き出し、従来技術を調査した上で、発明(※2)として抽出する。
  • 技術的な先行性、事業性を参酌して発明を評価し、必要なものについて出願(※3)を行う。
  • ノウハウとすべき発明(※4)をむやみに出願しない態勢(※5)も必要である。
  • 製品仕様が固まった事業化段階では、特許網の補強(※6)が必要になる。

※1 市場ニーズから導かれる製品仕様によっては他社の知財権を回避できない場合がある。この場合にはライセンスを受けざるを得ないため、当該他社に圧力となりうる特許網の構築を目指す。
※2 この段階で想定される発明としては、次のようなものがある。
顧客ニーズに併せた具体的な製品設計に伴う発明/原料、製造プロセス等の製品の上流・下流に関わる発明/開発テーマから見えている応用製品の具体的仕様・機能を捉えた発明/応用製品との関係で工夫がある発明/事業化する上で必要な原材料の発明/事業化に必要な効率的生産に関する発明/応用製品の物流に関する発明/応用製品のメンテナンスに関する発明/技術標準化に対応する発明
※3 アライアンスを組む場合、アライアンス先との共同出願又は範囲を分担した単独出願を考慮する。
※4 試行錯誤で得られる製造条件等であって秘匿可能なもの、侵害が発見できない製造方法、自社内でのみ使用する装置等。
※5 発明・ノウハウを文書化して公正証書・電子公証等として先使用権の立証に備える。
※6 この段階で想定される発明としては、自社技術を回避できる代替技術の発明(産業化に至るとマーケットが大きくなり、コスト面で採用できなかった代替技術も採用可能になることがあるから、コスト的に問題がある発明でも出願する価値が生ずる。)/生産、物流を効率的にするためのシステム的な発明/営業と絡めたビジネスモデル的発明

2. ライセンス戦略の検討

  • オープンか、独占か。(業種による)

3. 特許ポートフォリオのメンテナンス

  • 開発製品に関係する自社及び他社出願のパテントマップを更新し続けることにより、自社の知財の優位性を確認する。
  • 知財が生み出す将来の価値(※1)に基づいて出願を選別できるような出願評価システムを構築し、出願を適宜整理して自社の事業に最適な特許ポートフォリオとする。

※1 知財の将来価値は、市場規模、市場の成長性、技術動向、他社動向、自社営業力等のパラメータによって変化するから、それらのデータを常時更新する必要がある。

4. 特許以外の知財

  • 製品の機能が外観に現れる場合には、意匠出願を行う。
  • ブランド戦略を立案し商標出願を行う。

5. 知財部員・開発者の能力向上、知財マインドの醸成

  • 知財部員には、知的財産権制度に対する基本的知識と、近年繰り返される法改正についての知識とが必要であり、これはOJTと研修により修得するしかない。
  • また、開発者には、知財活動が自己の業務の一部であることの認識と、知的財産権制度への理解が必要である。特に、開発した技術を的確に発明として把握できるか否かは発明保護の出発点であり、これは開発者の知財に対する理解が必須である。これらもOJTと研修により修得される。

6. 権利行使の準備

  • 侵害を発見した場合の警告・訴訟
  • ライセンス交渉
 

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